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2022-02-08

松岡亨子さんとお話しできた思い出

松岡亨子さんの訃報を聞き、寂しい気持ちでいろいろ思い返している。
生前、何度かお話を聞く機会があった。
ワンダーガアグのグリム童話を訳した時のレクチャーでは、どれだけ生き生きと語るかで、読者を物語の世界に引き込むことができるか、例を挙げてお話された。
それまで、私は絵本の文章はなるべく少なく、絵の邪魔にならないように最低限に抑えるようにしていたのだが、その時の松岡さんの文章があまりにも楽しくて、ウキウキとグリムの世界に誘ってくれたので、その次に描いた絵本では、それを思い出して今まで以上に文章に心を込めた。
東京子ども図書館でお話を聞いた時は、ご自身で刺繍された雪のブローチを用意されていて、こんな忙しい方がそんなことできるなんて、、と感動した。
恐る恐る「くまのしゅげいやさん」を差し出すと、
「私、手芸が大好きなのよ。」とニッコリ微笑まれた笑顔が忘れられない。
松岡亨子さんの本では好きなものがたくさんあるけれど、パッと思い出すのが「わたしのろば、ベンジャミン」
この中で、とってもすごいなぁ、と思う文章がある。
女の子がロバに問いかけをした時、
「イイヨー、イイヨー、イイヨー」と3べん、なきました。
のところだ。
外国語でロバの鳴き声はなんて言うのか知らないけれど、日本人の私には、このイイヨーが、OKの意味のいいよー!を思い出させ、クマのプーさんのロバのイーヨーを思い出させる。
子どもとこの部分を読むのが大好きで、本当に臨場感溢れる鳴き声で、イイヨー!と読んだものだった。読んでて気持ちがよかった。
たくさんの素晴らしい物語の世界に私達を連れて行ってくれた松岡亨子さん、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
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